「もちろんです」

 そう言うと大翔は表情を変えずに私を見つめるものだから、ドキッとなる。

「じゃあ桜花、毎日連絡するよ」

 そうだった、タクシーに乗ってすぐに連絡先を交換しようと言われ、半ば無理やり交換させられてしまったんだ。

「……毎日はいらないよ」

 家族の前でそんな話をされたら恥ずかしくて、目を逸らして可愛げのないことを言ってしまった。

 普通、こんな態度をとったら怒るものなのに大翔は嬉しそうに頬を緩める。

「わかった、毎日する」

「私の話を聞いてた!?」

 噛み合わずに突っ込めば、祖母たちは声を上げて笑った。

「すっかり仲良くなったようでよかったよ」

「あぁ、本当に。大翔になら桜花のことは任せられる。いいか? 大翔、絶対に桜花のことを泣かせるなよ?」

「当たり前だろ?」

 私のことなんてそっちのけで勝手に盛り上がるみんなに、苛立ちが募っていった。
「本当に信じられない」
 入浴中に湯船に浸かって一息ついたところ、嫌でも今日のことが頭に浮かんで深いため息が漏れた。
 あの後、兄は家に上がってお茶でも飲んでいけと大翔を誘った。ギョッとするも、大翔は明日もフライトがあるからと言ってすぐに帰っていった。