俺が桜花を好いていることをずっと知っているはずだし、祖父とともに見守ってくれていたというのに。

 すぐさま俺は祖父を通して見合い相手に名乗りを上げた。しかし、そんな俺を待ってましたと言わんばかりに桜花の祖母は上機嫌で見合いの席を設けた。

 桜花の祖母の反応に俺は拍子抜けした。それというのも、栄臣も桜花の祖母も俺と会うことで記憶が戻り、桜花が悲しんだり苦しんだりする可能性がある以上、安易に会わせることはできないと散々言われてきた。

 だからふたりには桜花と約束をした夢を叶えるまでは会いにいかないと言ったわけだし、それまで見守ってくれると信じていた。

 それが急に見合いだなんてと思ったが、桜花の祖母曰く、自分も歳を重ね、いつなにが起こってもおかしくない年齢になったと自覚し、生きているうちに桜花の幸せを見届けたい。

 桜花も飛行機への恐怖心が薄れているようだし、俺が長年彼女を想い続けていることも理解してくれた上で栄臣と話し合ったようだ。

 そこで俺と会った時の桜花の反応が心配だが、なにかあったとしても一途に想いを寄せていた俺なら、桜花を支えることができると思ってくれたそう。