思いがけない展開に拍子抜けしてしまったが、これで夢を追い、叶えるチャンスを掴んだ。あとは夢を叶えて桜花と結婚するだけ。

 夢を打ち明けたのをきっかけに、俺は家族に桜花と本気で結婚したいことも話した。

 桜花のことは実の娘のように可愛がっていた家族はこちらも応援してくれて、なんとしてでも桜花の心を繋ぎとめ、結婚まで持ち込めなんて言うほど。

 しかし家族が夢も恋も応援してくれていることは心強かったし、どちらも叶う気がしていた。

 小学生になり、桜花は少しおませになった。結婚するならお互い呼び捨てにしようと言われた時は驚いた。でも「桜花」「大翔」と呼び合うたびに、特別な関係になった気がして嬉しかったのを今でもよく覚えている。

 この頃になると、俺はよく桜花をからかうようになった。意地悪するとムキになって言い返してくる桜花が可愛くてたまらなくてやめられなかった。

 もちろんあまり意地悪すると嫌われると思ってほどほどにしていたが。

 しかし、幸せな日々はそう長くは続かず、あの事故が起きた。

 桜花の両親が海外で展示会を開くために海外へ出かけて行った。二週間の予定で戻ってくるはずだったふたりは、飛行機事故で返らぬ人となった。

 そのショックで桜花は記憶の一部を失った。その一部とは、俺との記憶だった。