念を押すように言えば、桜花は「大翔君も絶対だからね?」と笑いながら言った。

 きっと桜花は結婚というものがどういうものなのか、正確にはわからなかったんだと思う。その証拠にすぐに両親たちの前で俺と結婚する宣言をし、家族を驚かせた。

 まぁ……家族は子供が言うことだから、おままごとの延長みたいなものだろうとしか思っていなかったらしいが。

 だけど俺は違った。桜花のことが好きで本当に結婚したいと思っていた。

 そのためにも俺は小学校に入学してすぐに、両親と祖父に将来は外交官ではなく、パイロットになりたいと打ち明けた。

 反対されることを覚悟の上で伝えたところ、家族は意外な反応を見せた。俺が決死の思いで言った姿を見て、家系のせいで外交官にならなくてはいけないというプレッシャーを負わせてしまい、悪かったと謝ってきたのだ。

 祖父も父も自らの意思で外交官の道に進んだ。そもそも外交官という職業は、親がやっているからなどという理由で務まるほど甘いものではないと言われてしまった。

それに七歳になったばかりなのに、もう夢を見つけたことに両親は感心し、全力で応援すると言ってくれた。