幸助は落ちている桜の花びらを指差している。

「うん、桜だよ。綺麗だね」

「ねー」

 私の真似をして首を傾げる姿が世界一可愛い。

 大翔も私同様、すっかり幸助にメロメロになっている。幸助も大翔に懐いていて、「ひー」って呼ぶのだ。

 それがまたツボらしくて、大翔は呼ばれ始めた頃は何度も悶えていた。

 大翔との交際は順調で、お互い切磋琢磨しながら仕事に取り組んでいる。そんな中で一緒に過ごせる時間を大切にしているし、かといって仕事が立て込んでいる時は無理をして会うことはしない。その分、会った時はめいっぱいふたりの時間を楽しむと決めていた。

大翔と一緒にいると幸せで、本当に心地よい関係を築くことができていた。

 そんな彼が幸助と一緒にいる姿を見ると、すごく子供の扱いが上手で好きなんだろうなってわかる。デート中も迷子の子供がいたら走って駆け寄り、優しくあやしていた。

 彼の家族との関係も良好だ。何度かお邪魔させてもらっている。記憶を取り戻してから初めて訪れた際は、彼のご両親は泣きながら喜んでくれた。