だけど今回の頭痛はいつもとは違い、頭が割れそうなほど痛み出す。あまりの痛さに誰かを呼ぼうとした瞬間、頭の中にたくさんの記憶が入ってきた。

 なに、これ……。まるで映画を見ているように流れる思い出のスライドたち。その中に幼い頃の私と男の子がいて、初めて顔を見ることができた。

 この子、誰かに似ている。

 見覚えのある男の子は、いつも私と一緒だった。初めて会った時は恥ずかしそうにしていて、弟のような存在だった。

 だけど仲良くなるにつれて、パイロットになるっていう大きな夢を抱いていてすごいなって思ったんだ。

 でも和田のわらび餅を家族ぐるみで食べに行った日のこと、黒蜜を零して上杉のおじさまに怒られて……。思わず笑っちゃったんだ。そうだ、そこで私があのハンカチを貸してあげたんだ。

 他にもサウスパークで一緒に遊んだり、空港に行って飛行機を見てふたりで興奮したり。次々と思い出が溢れてくる。

 結婚の約束もしていたよね? それほど私はその子のことが好きで、一緒に過ごすのが楽しくてたまらなかった。

 小学生になってからその子は意地悪なことをしたり言ってきたりするようになって、言い合いをよくしていたよね。……そう、今の私と大翔の関係のように。