『プライベートなお話にお付き合いいただき、ありがとうございました。皆様にとってもこの空の旅が特別なものなることを祈っております』

 大翔のアナウンスが終わると、大きな拍手が沸き起こった。

「ありがとう、大翔」

 拍手で盛り上がる中、涙が零れ落ちる。

 もう大丈夫。私、飛行機に乗れるよ。これからはいくらだって乗れる。大翔と何度も空の旅に出かけることができるよ。

 涙を拭いながら美しい空を眺めていると、そっと客室乗務員がウーロン茶とともにメッセージカードを置いていった。

 そこには大翔の字で〝素敵な空の旅を〟と書かれていて、しばらくの間なかなか涙が止まらなかった。

 それから空の旅は順調に進んでいった。機内食も美味しく食べられて、睡眠もとることができた。他にも映画を見たりと空の旅を満喫する中、窓の外を見たら緑色の光が見えた。

「あれってもしかして……オーロラ?」

 色に変化をつけてゆらゆらと揺れるのは、間違いなくオーロラだ。

「まるで生きているみたい」

 写真だけでは知り得ることができなかった神秘的な光景に息を呑む。

 亡くなった両親と大翔が見たオーロラまで見ることができて、なんて幸せだろう。

 瞬きも忘れてオーロラを見つめていると、急に頭痛に襲われた。

 嘘、どうして今?