ずっとトラウマでもう一生乗れないと思っていたのに……。

 感無量になるも、すぐに雲の中に入ると機体はガタガタと音を立てて大きく揺れる。

 だけど誰も騒がないということは、これが普通なの? でも、こんなに揺れるもの? 自然と手に力が入ってしまう。

初めての経験にパニックになりかけたものの、少しして機体の揺れは少なくなってシートベルトサインのランプが消えた。

 手の力も自然と抜け、一息ついたところで心配した客室乗務員がドアをノックして声をかけてくれた。

「失礼します、松雪様。先ほどの揺れは大丈夫でしたでしょうか?」

「はい、大丈夫です。ご心配をおかけしました」

「とんでもございません。なにか飲み物をお持ちしましょうか?」

「じゃあウーロン茶をお願いします」

「かしこまりました」

 お礼を言うと「失礼します」と言って客室乗務員は離れていった。至れり尽くせりで申し訳なくなる。

 小さなため息をひとつ零して窓の外に目を向けると、綺麗な青空が広がっていた。

「すごい、綺麗」

 大翔が送ってくれた空の写真を見て綺麗だと思ったけれど、やっぱり自分の目で見るとさらに美しく見える。

 しばし青空に目が釘付けになっていると、機内アナウンスが流れた。