そしていよいよ搭乗開始時刻となり、ボーディングブリッジを進んで飛行機へと向かう。

 さっきまであんなに落ち着いていたというのに、いざ飛行機に乗るとなるとやっぱり緊張してきた。

 自然と歩くスピードも遅くなっていく。次第に入口が見えてきて、緊張はさらに増した。

「いらっしゃいませ。お席へご案内いたします」

 しかし客室乗務員に笑顔で出迎えられ、少しだけ緊張が解れる。

「松雪様ですよね?」

「あ、はい」

 さすがはファーストクラス。席番号と乗客の名前をすでに頭に入れてあるんだと感心してしまう。

「上杉副操縦士より、ご事情をお聞きしました。どうかこのフライトが松雪様にとって大きな一歩になる素敵な旅になるよう、ご協力させてください」

 まさか大翔が事情を説明してくれていたとは思わず、びっくりして立ち止まってしまった。するとすぐに気づいた客室乗務員は目を細めた。

「上杉副操縦士が、それはもう松雪様のことを案じられておりました。……とても愛されていて羨ましくなるほどです」

「あ……えっと……」

 嬉しいやら恥ずかしいやらでパニックになる。だけどそっか、大翔が……。

「お席はこちらでございます。なにかございましたらなんなりとお申し付けください」

「はい、ありがとうございます」