「わかってるよ。……お兄ちゃんが私のお兄ちゃんで本当によかった。ありがとう」

 手を握り返して伝えた感謝の気持ち。言った後で恥ずかしくなり、手を離した。

「桜花……っ」

 私の話を聞いて公衆の面前だというのにボロボロと泣き出した兄に、ますます羞恥心でいっぱいになる。

「もう、泣かないでよ」

「泣かせるようなことを言う桜花が悪い。……俺も桜花が俺の妹で本当によかったよ。気をつけていってこい!」

「……うん!」

 泣きながら手を振る兄に別れを告げ、チェックインカウンターへと向かった。

 今回、大翔が飛行機のチケットを手配してくれた。今はすべて電子化されていて大翔から送られてきたチケットの情報を見て目を疑った。

 だって彼がとってくれた席はファーストクラスだったのだから。

 初めての空の旅を快適に過ごしてほしいという大翔の気持ちは嬉しいが、ファーストクラスなんて変な意味で緊張してしまいそう。

 だけどチェックインカウンターは別にあって保安検査も並ばずに通過でき、広くて綺麗なラウンジで飛行機を眺めながら待つことができたからか、乗るまで穏やかに過ごすことができた。