「おはよう、桜花。ほら、お守りは昨日買ったものだが、今朝一番にお参りしてパワーを込めてきたから持っていきなさい」

「おばあちゃんまで……」

 みんなの気持ちが心強くて、涙が零れ落ちた。

「なんで泣くんだよ」

 立ち上がった兄は幸助とともに私に歩み寄り、そっと肩を撫でる。すると幸助も手を伸ばして私の頭をポンポンしてくれた。

「アハハッ。幸助までありがとう」

「あー!」

 大きな声で叫んだ幸助に、みんなで笑ってしまった。

 今日までだってみんな私が無事に飛行機に乗れるように、たくさん協力してくれたのに。本当に感謝してもしきれないよ。
 涙を拭っているとスマホが鳴った。

「お、大翔じゃないか?」

 兄の予想通り、電話の相手は大翔だった。

 鼻を啜って通話に出ると、開口一番に大翔が『おはよう。大丈夫か? 体調は悪くないよな?』と心配する声が聞こえて笑ってしまう。

「ふふ、おはよう大翔。大丈夫だよ」

 鼻声で答えたのがまずかったようで途端に大翔は焦り出した。

『おい、鼻声じゃないか。風邪を引いたのか? それともやっぱり怖くて泣いたんじゃないだろうな』