なんて言われたら、容易に想像できてしまって頬が熱くなっていく。そんな私を見て大翔は意地悪な笑みを浮かべた。

「ほら、やっぱりそうなる」

「それはっ……! 大翔が悪いんでしょ?」

「俺が悪いのか?」

「そう!」

 そっぽ向いて照れ隠しするので精いっぱい。素直になれない自分は可愛くないと思いつつも、どうしても恥ずかしくて意地になってしまう。

「じゃあ俺が悪いからさ、桜花の記憶が戻ったら抱かせてくれ」

 真剣な声で言った彼を見たら、冗談を言っているようには見えなくて返答に困る。

「どうして記憶が戻ってからなの? これは私自身の問題なんだよ?」

 そうだよ、大翔には関係ないのに。

「いや、桜花の問題なら俺の問題でもある。それに俺は桜花のことを心から幸せにしたいんだ。幸せになるには、記憶を取り戻してトラウマを克服することでやっとスタートラインに立てるだろ? そこから俺が全力で幸せにする」

「大翔……」

 彼の気持ちは嬉しいけれど、医師からは無理だけはしないほうがいいと言われている。これまで十年近く思い出せなかった記憶だから、戻らない可能性があるとも言われた。それなのに……。