「でもちゃんと報告はするから、あまり心配しないで」

『絶対だからな?』

 念を押してきた彼に「はいはい、わかったよ」と答えれば、『どんなに些細なことでも全部だぞ』と言う。

『とにかく桜花のことが心配なんだ』

「大袈裟だよ」

 大きな病気を抱えているわけではないし、身体は至って元気だというのに。

 その思いで言ったものの、大翔は真剣な声で続ける。

『大袈裟じゃない。……できるなら毎日会ってそばにいたいくらいだ。いいか? ちょっとした変化だったとしても甘く考えないで医者か俺や栄臣たちに言ってくれ』

「……う、ん。わかったよ」

 あまりに大翔が切実に訴えてくるから、戸惑いを隠せなくなる。家族だって心配してくれているけれど、大翔は家族以上に心配しているよね。

 彼の言うように恋人なら当然なのかもしれないが、それだけではないような気がするのは私の気のせい?

『明日は十六時着の便で終わりだから会いに行くよ。……ちゃんと待ってろよ。約束だぞ』

 何気なしに大翔が放った〝ちゃんと待ってろよ。約束だぞ〟の言葉が、ずっと頭の中で木霊する。どうしてだろう、なぜこんなにも引っかかるの?