こうやって他愛ないことで笑って一緒にいられることがすごく幸せに感じる。記憶を取り戻して、飛行機に乗れるようになったらもっと幸せを感じられるのかな?

「今度の病院受診はいつ?」

「えっと、たしか二週間後だったかな?」

「二週間後か。もし休みだったら俺も病院に付き添ってもいいか?」

「え、いいよ、そんな」

 貴重な休みに付き合わせるなんて申し訳ない。しかし、大翔は足を止めて私の額を軽く突いた。

「おい、俺がさっき協力するって言ったことを忘れたのか? それに、愛する彼女の力になりたいって思うのは当然のことだろ?」

 大翔がサラッと「愛する彼女」なんて言うものだから顔が熱くなる。

「もう、いつもだけど恥ずかしいことをあまり言わないで」

 すると大翔は意地悪な笑みを浮かべた。

「どうして? 俺は事実を言ったまでだぞ?」

「いいから言わないで」

 居たたまれなくなって手を離して先に歩き出したが、すぐに大翔が追いかけてきて再び私の手を握る。

「悪いな、照れている桜花が可愛くて意地悪し過ぎた」

「意地悪しているって自覚はあるんだね」

「あぁ。でも可愛い反応をする桜花にも責任があるぞ?」