自分で言っていて悲しくなったが、事実だ。容姿は至って平凡。スタイルだって人並みの私のどこに魅力があるというの?

「そんなこと言うなよ。……桜花は魅力的な女性なんだから」

「いきなり呼び捨て?」

 ここは甘いセリフに反応するべきなのかもしれないが、それよりもさっきまで「キミ」と呼ばれていたのに、呼び捨てにされたことに反応してしまった。

「あぁ、結婚を前提に付き合うんだ。名前で呼び合うべきだろ? だから桜花も俺のことは大翔と呼んでいい」

 さっきから本当に彼とは話が噛み合わないのはなぜだろう。

「結婚を前提に付き合うなんて言っていないし、いきなり呼び捨てなんて無理だけど」

「お見合いをして今後も会うなら、結婚を前提にってことだろ? 呼び方に関してはそのうち慣れるさ」

 どうしよう、頭が痛くなってきた。こんなにも会話が成立しないと疲れるとは……。

 思わず大きなため息が零れた私に対し、彼、大翔は眩しい笑顔で言った。

「とことん桜花に愛していると伝えていくから、覚悟しろよ」