病院を出る頃にはお昼を回っていて、太陽も高く昇っている。そろそろ春に近い日差しは眩しい。

 バス停でバスの到着を待ちながら空を見上げていると、一機の飛行機が空高く飛んでいて目で追ってしまう。

「すごいな、あんな高いところにまでいっちゃうなんて」

 飛行機の中から見た地上の景色はどんなものだろう。きっと目の前の大きな建物は小さく見えて私の姿なんて見えないんだろうな。

 そんなことを考えながら空を見上げていると、急に背後から肩を叩かれた。びっくりして振り返ったらそこにいたのは、息を切らした大翔だった。

「え、大翔? どうしてここに……?」

 突然現れたものだから驚き固まる私に、大翔は焦った様子で私の両肩を掴んだ。

「朝、今日会えないかって連絡したのにいつまでたっても返事がないから仕事だと思って松雪屋に行ってみたら、栄臣から桜花が病院に行ったって言うから、病院名を聞いて急いできた。どこか悪いのか? 医者なんて?」

 どうやら兄になぜ私が病院に行ったかまでは聞いていないようだ。それほど私のことを心配してくれたのかと思うと、嬉しさと申し訳なさでいっぱいになる。

「ううん、どこも悪くないよ」

「じゃあどうして病院に……?」