祖母の声にみんなでリビングへ移動し、テーブルを囲んだ。ただならぬ雰囲気に焦りを覚える中、祖母は私の様子を窺いながら口を開いた。

「ここ最近、栄臣たちと桜花に話すべきかと悩んでいたんだ」

 祖母がそう切り出すと、兄も続く。

「飛行機へのトラウマも克服してきただろ? 今の桜花なら話しても乗り越えられると思うんだ」

 いったいなんの話をしているのかわからなくて、不安が募る。そんな私の心情を感じ取ったのか、雪乃さんが優しく声をかけてくれた。

「桜花ちゃん。びっくりするかもしれないけど、落ち着いて聞いて」

 彼女の言葉の後に、兄と祖母は顔を見合わせる。そして祖母がゆっくりと話し始めた。

「両親が飛行機事故で亡くなったのは、ちゃんと覚えているね?」

「……うん、もちろん」

 それから私は両親を失ったショックで、飛行機が怖くなり、見ることさえできなくなってしまった。

「当時、桜花はまだ七歳で大きなショックを受けたのだろう。飛行機へのトラウマだけではなく、一部の記憶も失ってしまったんだ」

「……どういうこと?」

 思いもよらぬ話に耳を疑う。だって記憶を失っただなんて……。