「違うの、桜花ちゃんを見て。目の下の隈がひどいから心配で……」

「隈?」

 雪乃さんに言われてやっと兄の視界に私が入った。そしてまじまじと私の顔を見た兄にも「本当だ、桜花、隈がすごいぞ」と言われてしまった。

「体調は大丈夫か? 今日は予約も入っていないし、ばあちゃんに店に出てもらえばいいから無理はするな」

「ううん、大丈夫。身体は元気だから。ただ、その……」

 頭痛や夢に出てくる男の子のことを相談しようと思った時、タイミングよく祖母が起きてきた。

「おはよう。どうしたの? みんな揃って」

 キッチンに集まる私たちを見て不思議そうに聞いてきた祖母に、兄は「聞いてくれよ、ばあちゃん」と言って事情を説明する。

「それなら今日は私が店に立つよ。桜花、無理は禁物だよ」

「違うの、本当に元気なの」

 心配する三人に頻繁に頭痛が起きていること。顔も名前もわからない男の子が、頻繁に夢に出てくるから色々と考えてしまい、寝不足だということを伝えた。

 するとなぜか三人は顔を見合わせて戸惑い始めた。

「どうしたの? みんな」

 深刻そうな表情に、もしかして私は大きな病気を抱えているのではないかと心配になる。

「ちょっと座ってゆっくり話そうか」