大したことはないと思い、まだ大翔や家族には相談していない。でも、急に襲ってくる頭痛は今まで感じたことがないような痛さだった。

 そうなると、なにか病気ではないかと心配になっていた。

 どうしようかと頭を悩ませながら調理を進めていると、雪乃さんがキッチンに入ってきた。

「おはよう、桜花ちゃん。ありがとう、ご飯の準備をしてくれて」

「いいえ、なんか一回起きたら目が冴えちゃって眠れなくなっちゃったんです。お味噌汁ができて、今は鮭を焼いているところです」

「助かるよ、ありがとう」

 雪乃さんも手を洗って冷蔵庫を覗く。

「あと厚焼き玉子でも作ろうか」

「やった、雪乃さんの厚焼き玉子好きだから嬉しいです」

 雪乃さんは家族の好みに合わせたものを作ってくれる。甘党の兄は黒砂糖を使った甘い玉子焼きを。

 祖母はほんのりと出汁が効いたものを。そして私にはチーズを入れて焼いてくれる。

「そう言ってくれてありがとう、作り甲斐があるよ」

 手際よく厚焼き玉子を作っていく雪乃さんの横で、私は使った食器などを洗っていく。

「桜花ちゃん、味見する?」

「え、いいんですか? 味見したいです」

 すると雪乃さんは私の口に運んでくれた。出来立てだからチーズがトロトロですごく美味しい。