霧の中、ぼんやりと見える男の子は、いつも私になにかを訴える。そこから時には場面が切り替わって、私は男の子となにか大切な約束をするのだ。

 その約束がなにか知りたいのに知ることができない。聞きたいことがたくさんあるのに、夢の中の私は言葉を発することができなくて、いつも歯がゆい思いばかり。

「……またあの夢か」

 夢を見たからか、頭が重い。時間を確認すると、まだ朝方の四時過ぎだった。

 もう少し寝ようと目を閉じても、夢の内容を覚えているからか気になって仕方がない。

 大翔と恋人になって一週間が過ぎた。しかし、ちょうど大翔が国際線のフライトが入っていて、この一週間会えずにいる。
でも以前よりも連絡頻度は増えて、早く会いたい気持ちが大きくなっている。

 その一方で私は原因不明の頭痛に悩まされていた。

 結局眠ることができず、早いけれど起きて雪乃さんに代わって朝食の準備を進めていく。

 最初は風邪かなと思ったけれど頭痛以外の症状はなく、身体は至って元気だった。だから疲労からくるものかも……と思って二~三日は睡眠時間を多く取って身体を休めたが、頭痛は収まることはなかった。

「病院を受診したほうがいいのかな」