その問いかけに私はすぐに無理だと答えた。大翔のことが好きだからこれから先もずっと一緒にいたい。

 たとえ、大翔に私に対する気持ちがなかったとしても、この前のことを謝ってちゃんと自分の気持ちを伝えたい。

 雪乃さんのおかげで気持ちの整理がつき、まずは仕事に集中しようと思って昨日、今日といつも以上に気合いを入れて仕事に当たった。

 そして今夜にでも勇気を出して大翔に連絡をしようと思った矢先に、彼が会いに来てくれたのだ。

 だから早く謝らなくちゃいけないのに、話を切り出すタイミングを掴めずにいる。

 大翔が足を止めたのは、以前にも来た海が見渡せる場所で周囲を見回した。

「あそこに座ろうか」

「あ、うん」

 先に座った大翔と少しだけ距離を取って隣に腰を下ろした。小さく深呼吸をして自分を落ち着かせ、謝ろうとした時。

「この前はごめん」

「え? 大翔?」

 隣を見ると、彼は私に向かって深々と頭を下げていた。

「桜花を泣かせるようなことをして、本当に悪かった」

「そんなっ……!」

 大翔は悪くない、私が勝手に嫉妬して泣いたのだから。そう説明しようにも、大翔は頭を下げたまま続ける。