『桜花、お願いだから俺の話を聞いてほしい』

 大翔に言われ、もちろん了承した。私もちゃんと大翔と話をしたかったから。

 しかしここは実家。近くには雪乃さん、廊下には兄と祖母まで私たちの様子を見守っていたものだから、たまらず大翔と家を出て以前にも来たことがあるサウスパークへとやって来た。

 二十時近くになる時間帯ということもあり、今日もほとんど人影がなかった。

 公園内を歩いて移動中、お互い言葉を発することはない。

 本当は話したいことがたくさんある。それなのに、緊張して言葉が出てこない。

 一昨日、私は自分の気持ちに気づいて間もないからか、想いが溢れて嫉妬してしまい、一方的に大翔に怒りをぶつけてしまった。

 そんな自分が嫌になって散々泣き続けた次の日の朝、心配した雪乃さんが話を聞いてくれたのだ。

そこで私は大翔を好きになったこと、そして嫉妬してしまい、後悔していることなど包み隠さず打ち明けた。

 雪乃さんは最後まで私の話を聞いてくれて、こうアドバイスしてくれた。

『桜花ちゃんが抱いた感情は、人を好きになると誰もが感じること。大切なのは後悔した後だよ。このまま大翔君に好きって伝えずに会えなくなってもいいの? 大翔君が桜花ちゃん以外の人と付き合っても平気?』