「お願いだからもう優しくしないで! 大翔に優しくされるとつらいの」

 もう大翔と話をするのもつらくて、私はそのまま店を飛び出した。

「桜花!」

 すぐに大翔が後を追ってきた気配を感じたから「ついてこないで!」と叫ぶ。

すると背後から彼の足音が止まり、私は涙を拭いながら自宅へと急ぐ。

 こうなりそうで怖かったから会いたくなかったんだ。会ったら大翔を責めて、自分のことがすごく嫌になりそうだったから。

 もう頭の中がぐちゃぐちゃでつらい。好きなのに、大翔のことを考えると苦しくなる。

 胸が圧し潰されそうな痛みを感じながら私は自宅に着くなり、心配する雪乃さんと祖母に答えることなく部屋に閉じこもり、声を押し殺して泣き続けた。