次の日、目が覚めてすぐにスマホを確認すると大翔からメッセージが届いていた。そこには【おやすみ】と【また連絡する】とだけ綴られていた。

「きっと大翔は今日、休みだよね」

 誘われたとしても仕事を理由に断ることができるから、休みじゃないのが幸いだ。

 ゆっくりと起き上がって部屋を出る。今日着る着物を選びながらも、やっぱり大翔のことを考えてしまう。

 誰かを好きになったら、幸せなことばかりだと思っていた。それこそ学生時代、友達はみんな片想いが楽しいって言っていたし。

 でも実際は違う。好きだと気づいた途端、幸せな気持ちになるどころか悲しくて辛くて、苦しい。

 好きなら相手にも好きになってもらえるよう努力をするべきなのに、臆病になって会うことすらできなくなるなんて……。

 好きだから大翔の気持ちが怖くて聞けない。私も好きだと言った途端、困惑されたらどうしよう。考えれば考えるほど大翔に会えなくなるよ。

「みんな、同じ気持ちになるのかな」

 私のように悩んで自分が嫌になって、どうしたらいいのかわからなくなる?

 答えは出ないまま着物を選んだ後に朝食を済ませ、自分で着つけてお店へと向かった。

 この日も平日だが、オープンと同時にお客様が絶えずにいた。