三人とも空港でなにかあったと確信しているようだ。そして私が意気揚々と出かけた手前、嘘をついて無理していると勘違いしている模様。

「本当に平気だったんだよ。ただ、その……落ち込むことがあって上の空だっただけ」

　さすがに大翔への恋心に気づいたものの、他の女性と一緒にいるところを見て落ち込んでいたとは言えないが、そのせいで上の空だったことは本当だ。

　あまりに三人とも勘違いしているから説明したところ、またさらなる誤解を招いたようで、兄がニヤニヤし出した。

「なんだ、桜花。大翔と喧嘩でもしたのか」

「あら、そうだったの。それは落ち込むわね」

「桜花ちゃん、どんなことで大翔君と喧嘩したのかわからないけど、仲直りするタイミングに気をつけてね」

　キョトンとなる私を置き去りにして、三人は私が大翔と喧嘩したから落ち込んでいたということで話がまとまってしまった。

　しかしここで否定でもしたらさらに詮索されて面倒なだけ。だったら勘違いされたままのほうがいいのかもしれない。