「うわぁ、さすが空港限定味のプリン! すっごく美味しい」

「桜花が俺のために買ってきてくれたシュークリームも最高だ」

「羊羹も美味しいよ、桜花」

 三人からそれぞれ絶賛の声をかけられるも、私の頭の中は大翔のことでいっぱいだった。

「桜花?」

 心配そうに私の名前を呼ぶ兄の声に我に返る。

「あ、ごめん。どう? 美味しい?」

 感想を求めたが、三人は顔を見合わせた。

「どうしたの?」

 不思議に思って声をかけたところ、ついさっきそれぞれお土産の感想を言ってくれたと聞き、すぐに「ごめん」と謝った。

「なぁ、桜花。空港でなにかあったのか? やっぱりまだトラウマから抜け出せなかった?」

「もしそうならごめんね。私も栄臣とおばあ様と一緒に止めるべきだった」

 兄と雪乃さんが申し訳なさそうに言う姿に、首を横に振る。

「ううん、違うの。私、飛行機を見ても怖くなかったし、むしろカッコいいって思ったくらいで。だから空港観光も満喫で来て、こんなにお土産も買ってくることができたの」

 私の話を聞き、三人は困惑の表情を浮かべる。

「じゃあどうして帰ってきてからずっと上の空なんだ?」

「そうよ、桜花。家族の前でくらい無理しなくていい。今日はだめだったとしても、いつか空港に行くのも平気になる日がくるわ」