今まで、沢山の出来事があった。

 【フラワーメール】は各地にポストを設置、ルートを広げ、さらには目標にしていた島国のミュレーンス王国とも繋がる事が出来た。国際郵便の誕生である。

 ミュレーンス王国側の郵便局については、最初の頃から事務員として務めてくださっていたラル夫人の姪、リタ・エルマンさんに一任し、今はもう立派な郵便局長である。

 【クローバー】の方も、売れ行きは減るどころかどんどん上がっていき【ブティック・シェリシア】や【ナカムラ商会】とのコラボ商品も作り出すほどに。

 タクミは、凶作となってしまった土地の話をパーティーで偶然耳にし、つい(?)救荒作物の事を口から出してしまった事に始まり、色々と大変な事に巻き込まれ、今では一躍有名となってしまった。まぁ今までも有名ではあったけれど。

 あ、因みに救荒作物とは、災害や異常気象、凶作の時などに代用として栽培する作物の事を言う。そういった時でもちゃんと成長出来て短い期間で育つもの。例えばジャガイモやサツマイモ、そばなどがそれにあたる。


 彼と出会って数年の月日が経ち、そして今。


「健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、互いを愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」

「はい、誓います」

「誓います!」


 私達は今日、アヤメ・ナカムラ・アドマンスと、タクミ・ナカムラ・アドマンスになりました!

 今まで色々と迷ったり困ったり、悩んだりしたこともありました。ミュレーンス王国の視察に行くなだとか何だとかってごねられたり、一旦スフェーン王国に帰らなきゃならなくなったのにいやだいやだと煩かったり、大喧嘩して一ヶ月ガン無視したりと色々ありましたが。

 あ、ガン無視はお母様の入れ知恵ね。


「今、幸せ?」

「うん! すっっっごく幸せ!」


 隣にいる泣きそうなお父様を慰めつつ映像記録の魔道具を握りしめてるお母様や、変な顔のお兄様、大号泣のマリア、これから投げるブーケをキャッチしようと気合いを入れるナナミちゃんとカリナ、こんなに素敵なウェディングドレスを製作してくださったリアさんやレストリス侯爵様。

 他にも沢山、出会った人達が沢山いる。

 そんな人達に囲まれて、幸せに生きられるなんて、私は幸運だ。


「……ママに、会いたいなぁ」

「絵、撮って送ってみるか?」

「え、出来るの?」

「う~ん、妖精達呼べば出来るんじゃないか?」


 え、じゃあ妖精さん達に頼めばママ呼ぶ事も……いや、分かんないけど。とりあえず、写真と一緒に手紙を書いてみよう。送れたらいいな。


 とりあえず、ママ! 私は幸せに生きてますよ!

 だから、ママも元気でいてね!


 END.