次の日の朝、いつも通り教室に登校して一限目の準備をする。今日はなんだか、いつもよりさらに教室が騒がしい。クラスメイト達が騒ぐのを無視して準備をしてきると、一人の男子が私に向かって話しかけてきた。

『なぁ知ってるか?立川と桐谷、付き合ってるらしいぞ。』
 どうやら、美里ちゃんと湊くんが付き合いだしたらしい。まぁ、昨日の彼女の様子を見ていればだいたい想像はつく。
 私は、話しかけてきた男子を無視して一限目の準備を進めた。

 ✱✱✱

「美里ちゃんおめでとう!」
 
 昼休みはいつも、彼女と待ち合わせて一緒にお弁当を食べている。
 今日は一限目から四限目まで授業を受ける教室が別だったから、美里ちゃんと顔を合わせるのはこの時間が初めてだったけれど、私は顔を合わせてすぐお昼の挨拶ではなくて、この言葉を彼女に贈った。

「いいなぁ、美里ちゃんもついにぼっち卒業か〜.....」
 今までこんな恋愛してみたいねなんて理想の恋愛を話していた友達が少し遠くに行ってしまうような気がして、少し寂しく感じる。

「なぁに言ってんの!七ちゃんだって可愛いところたくさんあるじゃん。いい人すぐに見つかるって。」
 
 彼女はこんなことをサラッと言ってのけるけれど、果たして本当にそうだろうか、とまた考えてしまう。

「ちょっと〜、おーい?また魂どっか飛んでってるけど?大丈夫〜?」
 
昨日と同じように彼女の声で現実世界に引き戻される。昨日からこんなことばかりで申し訳ない気持ちになる。

「ほら、行ってきなよ!湊くんが待ってるよ、きっと。」
 
 彼女がお弁当を食べ終えたタイミングでそう声をかける。すると彼女は照れくさそうに笑って、『そうだね、行ってくる』って。

「いいなぁ......ってことはこれから毎日ぼっちでお昼ご飯か?」
 一番気づきたくないことに気づいてしまった気がした。

 ✱✱✱

 五、六限が終わって、いつもなら部活に向かう時間。けれど今日は顧問の先生の都合で休みになった。このまま帰っても、別に怒られたりしないけれど何となく他の部活の様子が見たくなって私は運動部の生徒がいるグラウンドの方へ向かった。