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あっという間に夏休みは終わり、二学期がはじまった。
野球部の先輩の引退後、柳瀬は『ショート』っていうポジションから、本格的にピッチャーに転向したらしいと、風のウワサで耳にした。
うわっ。ひょっとして、まだあの負けを引きずってるの?
……って一瞬思ったけど、この前の吹部の先輩たちのことを思い出したら、純粋にすごいなって思えた。
クールぶったいけ好かないヤツって思ってたけど、全然違うじゃん。
アイツがこんなにアツいヤツだったなんて、思ってもみなかった。
「柳瀬、ファイトーっ!」
ランニングに向かう柳瀬を見かけるたびに、大きな声を掛ける。
「冴木、うるさい」
そのたびに、柳瀬は律儀にあたしに文句を言う。
「でも、本当はうれしいんでしょー、女子からの声援」
「うるさい、黙れ」
ニヤニヤしながらあたしが言うと、チッと小さく舌打ちして超絶イヤそうな顔をする柳瀬。
でも、無視せずにそうやって柳瀬が返してくれる反応がおもしろくて……うれしくて、またついいじっちゃう。
あっという間に夏休みは終わり、二学期がはじまった。
野球部の先輩の引退後、柳瀬は『ショート』っていうポジションから、本格的にピッチャーに転向したらしいと、風のウワサで耳にした。
うわっ。ひょっとして、まだあの負けを引きずってるの?
……って一瞬思ったけど、この前の吹部の先輩たちのことを思い出したら、純粋にすごいなって思えた。
クールぶったいけ好かないヤツって思ってたけど、全然違うじゃん。
アイツがこんなにアツいヤツだったなんて、思ってもみなかった。
「柳瀬、ファイトーっ!」
ランニングに向かう柳瀬を見かけるたびに、大きな声を掛ける。
「冴木、うるさい」
そのたびに、柳瀬は律儀にあたしに文句を言う。
「でも、本当はうれしいんでしょー、女子からの声援」
「うるさい、黙れ」
ニヤニヤしながらあたしが言うと、チッと小さく舌打ちして超絶イヤそうな顔をする柳瀬。
でも、無視せずにそうやって柳瀬が返してくれる反応がおもしろくて……うれしくて、またついいじっちゃう。