“8”と置かれたそのカードは本当なのか、それとも嘘なのか、頭がぐちゃぐちゃしてちっとも集中出来ないが、ひとまず真帆はじっと見つめて考える。


「本当はまだ好きなのに、それを押し殺すのは辛くないの?」


顔を上げて睨み付けても、田辺は一向に動じない。


「どんなに必死で押し殺したってさ、そんなの一時のもので、その気持ちが田中さんの中から消えてなくなるとは限らないじゃん。逆に、忘れられなくなるかもよ」

「……田辺くんはなんなの。恋愛のスペシャリストかなんかなの」

「あ、そんな風に見える?」

「“9”」


得意げな顔がムカついたので、真帆はノーコメントでカードを出す。


「恋愛ってさ、難しいよね。お互いに好き同士だったのに、付き合ってみたらうまくいかなかったってこともあるわけじゃん。逆に、別に好きでもなかったけど、付き合ってみたらうまくいったってパターンもあるわけだし。あっ、ちなみに前者は俺の中学の時の友達の話で、後者はいとこの話ね。もっと詳しく聞きたい?」

「結構です」

「残念。じゃあはい、“10”」