「お菓子はまだまだあるんだけど、俺的にはお菓子よりもうちょっとお腹にたまるものが食べたいんだよね」


そう言いながら、冷蔵庫やら食材がしまってある棚やら引き出しやら、あっちこっちを開けては物色する田辺。
何度もやり直すのが嫌なので、仕方なく一旦トランプを配るのを中断した真帆は、カウンター越しにそれを眺めていたのだが、思わず漏らした「あ」という呟きを田辺に拾われてしまう。


「なになに?なんかいいこと思い付いた?」

「……いや、別に」


今更誤魔化しても無駄だろうなと思いつつ、とりあえずチャレンジしてみるが、やはり田辺の“なになに”攻撃は止まらない。
そうなると、鬱陶しさに耐えられなくなった真帆が結局答えることになる。


「……そこの棚の一番下開けた時、インスタントのスープあったでしょ。それでいいじゃんって思ったの」

「確かにあるけど、でもスープじゃお腹は膨れないよ?」


膨らませろよと思いつつ、真帆はもっとよく見ようとカウンターに手をついて出来る限り身を乗り出す。