「ねえ田中さん、お菓子もいいんだけどさ、なんか小腹空かない?」

「ちょっと、今分けてるんだから話しかけないで」

「今すぐ出てくるのはねー、カップラーメン」

「どこが小腹よ!」


思わず顔を上げて突っ込んでしまったら、今自分が手に持っているのは、次にどの山に行くはずのトランプだったかわからなくなった。


「……田辺くんのせいでやり直しなんですけど」

「じゃあやり直す前に小腹について考えようよ。あっ、アイスもあった」

「この寒いのにアイス?」

「温かい部屋で食べるアイスって最高じゃない?夏とはまた違った良さがあると思うんだよねー」


と言いつつも別に気分ではなかったのか、田辺は冷凍庫の扉を閉めてまた考え込む。


「やっぱりカップラーメンにする?」

「それはもう晩ご飯じゃん」


人によっては、それを夕飯としてではなく小腹を満たすものとして食べることもあるのかもしれないが、真帆にとってはそれは夕飯だ。時間的には、夕飯にはまだ早いけれど。