「さて、じゃあ田中さん。このトランプでゲームをしよう。俺に勝ったら、田中さんが知りたいこと、何でも教えてあげるよ」


驚きに目を見開く真帆に、田辺が楽しそうに笑う。


「やるよね?」


笑顔で問いかけられ、真帆の心に火が点いた。


「もちろん」


真帆のその答えに、田辺は笑顔で満足そうに頷く。


「よし、とりあえずテーブルの上を片付けよう。そんで、お菓子を出そう」

「……お菓子、いる?」

「いるでしょ。ゲームをするならお菓子は必須だよ。ちょうどいい具合に、甘いのとしょっぱいのが両方あるんだー。あっ、田中さん、お皿片すの手伝って」


ちょっと前までの真帆ならば、ここで文句の一つも言うところだが、このゲームに勝てば真帆がずっと求めていた情報が、真実が手に入るというのだから、言われた通りにテーブルの上を片付けるのを手伝うし、言われてもいないお菓子を出すのも進んでやる。
そうやってキッチンで並んで作業をしていると


「これはもうあれだね、結婚しちゃってるね、俺達」


田辺が笑顔でそう言った。もちろん、真帆は聞こえないふりで無視をした。