「……あの、できたらはっきり言ってほしいなーみたいな。でないとほら、謝るものも謝れないし」


適当に“ごめん”と謝って、“元クラスメイトのよしみで許して”としておくことも出来るけれど、それで済ませておけるほど、真帆は田辺と仲良しだとは思っていない。


「はっきり?ああ、昨日の夜のことをもっと具体的に聞きたいってことだね。しょうがないなあ、田中さんがそこまで言うなら、こと細かく説明してあげるよ。――昨日の夜、ここで、二人で、何をしてたか」


ベッドに手をついた田辺が、なぜか真帆の方にぐいっと顔を近づけてくる。顔どころか体ごと近付いてくる。
初めは状況が理解出来ず固まっていた真帆だが、上半身裸の男が目の前に迫って来たことにハッとして勢いよく後ずさり、壁に思いっきり後頭部を打ち付けた。ごんっとかなりいい音がした。


「いったぁ……」


後頭部を押さえてうずくまる真帆を、田辺は驚いたように目を見開いて眺める。そしてややあって、吹き出すようにして笑い出した。


「嘘でしょ、なに今の。ギャグ?狙ったの?」

「そんなわけないでしょ……!」


ただでさえ鈍い頭痛がしていたというのに、今ので完全に悪化した。