「……同窓会で一緒だった友達に訊く」

「俺と二人になってからのことは、俺と田中さんしかわからないと思うけど?」


これもまたその通りで、その通り過ぎて腹が立つ。


「とりあえず!今日は帰る。昨日のことはまた後日に――」


空になったカップを置いて立ち上がろうとしたら、伸びてきた手に手首を掴まれた。


「田中さんさ、何にそんなに反応してるの?時々、俺の話のどこかに、悪い意味で反応してるよね。この辺ぎゅってなったり、手に力が入ったりしてる」


“この辺”と自分の眉間を指差してみせる田辺に、そんなことないとは言えず、真帆はふいっと視線を逸らす。


「……それは、田辺くんが関係ない話ばっかりするからであって――」

「それってさ、あの時呼んでた名前の人と、何か関係あるの」


え……と思わず声を漏らし、田辺へと視線を戻す。


「名前って……」

「昨日の夜、何度も呼んでたよ。随分とまあ寂しそうに」


真っすぐにこちらを見つめる田辺から視線を逸らせず、真帆もまた真っすぐに田辺を見つめ返す。


「……なんて、言ってたの」


真帆の問いに、田辺は真っすぐにこちらを見つめたまま焦らすようにたっぷりと間を空けて


「男の名前」


そう言った。