「あーだこーだ言ってない。これはただの恋バナだから。でも田中サンが恋愛系はダメダメそうだから、田辺くんに振っただけ」


恋バナをするほど島田と打ち解けたようには感じないので、おそらく思い付きの言葉なのだろう。こういう時にぱっと言葉が出てくるところ、もっと言うと誤魔化すのが得意なところは、田辺によく似ていると思った。


「こら、ダメダメとか言うな。田中さんの方がお前より年上だからな」

「恋愛に年功序列なんてものはありませーん。それに、恋愛ダメダメなのは田中サンだけじゃなく雅功くんもだからね」


うぐっと言葉に詰まった岡嶋を見るに、どうやら反論出来ないらしい。


「まあ確かに、岡嶋さんは恋愛に疎そうだよね。苦労したでしょ?島田ちゃん」

「そりゃあもう!でも、苦労したかいはあったよ」


幸せそうににっこり笑う島田の横で、岡嶋が真っ赤になった顔を隠すように俯いて、物凄い勢いでピザを頬張っている。


「まあでも、かいはあったけど、未だに照れて下の名前で呼んでくれないし、婚約者だって紹介してくれないから、不満はあるんだけどねー」


覗き込むような体勢になった島田に、岡嶋が驚いてむせる。