そもそも、真帆は一度たりとも田辺の結婚話に頷いたことはない。
ではただのクラスメイトに戻ったのだろうかと思うが、何となく今までと同じ気持ちで“ただのクラスメイト”とは言い難い気持ちが真帆の中に芽生え始めている。
かと言って、“友人”というのも違う気がする。


「……一体どういうご関係なんですか」


島田からの至極最もな質問に、真帆は難しい顔で唸る。


「それをね、今必死で考えてるの……」

「今!?今考えてるんですか?」


島田の驚いた顔が、この瞬間呆れ顔に変わった。


「ちなみに、田辺くんはどう思ってるの?」


岡嶋と楽しそうにじゃれ合っていた田辺は、突如島田から向けられた問いに「ん?」と首を捻る。


「島田、そういうのは第三者があーだこーだ言うことじゃないだろ。当人同士のペースってものがあるんだから」


田辺の反応からして話が聞こえていなかったのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。島田に軽く注意しながら、岡嶋は真帆に向かって申し訳なさそうな顔をする。