必死に田辺の話を遮る岡嶋は、その合間に真帆の皿にもピザを取り分けてくれる。なんだか一人で忙しそうだな、これは手伝うべきか、それとも田辺を止めるべきか、悩みながら眺めていると、不意に視線を感じた。
恐る恐るそちらを見れば、じっとこちらを見つめる島田と目が合う。


「……えっと……島田さん、タバスコいります……?」


何か言わねばと思うものの変なことを言って睨まれたくもないので、真帆は咄嗟に目に付いたタバスコを手に取る。しかし、「いえ大丈夫です」と言われてしまえばそれまでだ。
田辺とはあれほど速攻で打ち解けていた島田だが、真帆に対する警戒心は未だ解けていないらしい。

ここははっきりと、岡嶋とは何もないということを改めて伝えるべきか、しかしそれを蒸し返すとはまって来て煩そうな男が一人いる。
それに、それが原因だと思っているのは真帆だけで、単に島田に嫌われている可能性もゼロではない。
考えれば考えるほどどうにも出来なくなって、真帆は黙ってもそもそとピザを食べる。そんな真帆をしばしじっと見つめていた島田は、真帆がピザを三分の一ほど食べたところでようやく口を開いた。