とにかく、新婚ほやほやで幸せの絶頂期のはずの友人が、なぜ同窓会の前に結婚してしまったんだ……!と激しく嘆いていたのは覚えている。
そんな田辺がなぜか隣に、同じベッドの上にいる。それも、パンツ一枚という信じられない格好で。


「なん、で、えっ、あ…………田辺くん、だよね?……なぜ、田辺くんがここに。……ここ?……あれ、ここどこだ」


最初に目を開けた時は薄目だったしぼんやりしていたしで、自分の部屋と信じて疑わなかったが、よく見るとここは真帆の部屋ではない。
天井の色が、壁紙が、窓の位置や家具や、そもそも間取りが全然違う。かと言って、部屋の感じはホテルの類でもない。それなりに生活感がある。

では一体、ここはどこなのか?

真帆は部屋中を見回していた視線を田辺の方に持って行ったが、相手がパンツ一枚であることを思い出して慌てて視線を逸らす。
そんな真帆の一連の動きを眺めていた田辺は、ゆっくりと口角を上げると、ベッドに置かれた真帆の手にそっと自分の手を重ねた。

予期せぬことに驚いて肩を跳ね上げた真帆が視線を動かすと、目が合ったところで田辺は更に、重ねた手を上から包み込むようにして握った。


「結婚式はいつにしようか、田中さん」