「ええーもう。それじゃあ、俺と田中さんの明るい未来にかんぱーい!」

「ちょっと!!」


岡嶋の抗議の声を受けて不満げに一度グラスを下げた田辺だが、次に放った言葉によって今度は真帆が声を上げる番となる。


「もう、二人してなに?乾杯の音頭なんだから楽しいこと言わないと」

「そうそう。せっかく祝ってくれてるんだから、雅功くんも恥ずかしがらずに有難く受け取らなきゃ」

「あ、俺のことは田辺でも誠也でも好きに呼んでくれていいよー島田さん」

「そうですか?じゃあ雰囲気的に、田辺くんかな」


なんだろう、急速に田辺と島田の仲が深まっている気がする。それはいいことなのかどうなのか、少なくとも頭を抱えている岡嶋を見る限り、彼にとってはいいニュースではないらしい。


「ちなみに、岡嶋さんはなんてプロポーズしたの?」

「ええー、聞いちゃいます?雅功くんは――」

「まだプロポーズしてないだろうが!ほんといい加減にしろよお前ら」


割って入った岡嶋の“まだ”の部分を、もちろん田辺が聞き逃すはずがないし、今日はそこに島田も加わっている。
流石に黙って見ているのも可哀そうなので、真帆はおずおずとグラスを掲げた。