「田辺 誠也です。岡嶋さんの可愛い後輩です」

「おい」

「島田 美沙です。雅功くんの婚約者です」

「おい!!」

「あ、えっと……田中 真帆です。その……先日はどうも」


前半二人の自己紹介は真面目に言っているのかそれともふざけているのか、そのせいで突っ込みを入れ終わった岡嶋が頭を抱えている。


「岡嶋さん、流れ的に岡嶋さんの番ですよ」


田辺に促されて顔を上げた岡嶋は、そこにいる全員の顔を見渡したところで


「……全員俺のことを知っているような気がするんだが、自己紹介は必要なのか?」


疲れ切った顔で首を傾げた。
“知り合いが来ている”とマスターから教えられ、その後ポテトサラダによってひと悶着あった四人は、現在同じテーブルを囲んでいる。
テーブルの上には、元々岡嶋達が頼んであった料理の他に、田辺が追加注文したものが所狭しと並べられていた。


「まあ、流れ的には必要かと。全員知っていると思ってるのは岡嶋さんだけで、知らない人もいるかもしれませんよ」


田辺が暗に言っているのは自分のことだろうなと予想は付いたが、真帆は黙っておいた。
余計なことを言うと、向かいの席からの視線が痛いのだ。