「俺のことを知ってよ、田中さん。俺も、田中さんのことを知りたい。そしたら俺は今よりもっと、田中さんを好きになるよ」

「っ……だから、言い過ぎると真剣味が!」


一度目の恥ずかしさを乗り越えたことで吹っ切れたのか、田辺が躊躇なく口にする“好き”という言葉に、真帆の方が恥ずかしくなってくる。
この反応が田辺を喜ばせているとわかっていても、恥ずかしいものは恥ずかしいのだからしょうがない。


「ああそうだ、田中さんが俺のことを好きかどうかがわかったら教えてね。その時は、改めてちゃんとプロポーズするから。ロマチックなのがいい?」

「ちょっと待って、プロポーズってなによ!」

「最大級の愛の告白」


にこっと笑って小首を傾げる田辺に、真帆はしばし口を開閉させるだけの鯉となった。


「楽しみだなー、田中さんに“好きだよ”って言ってもらうの」


ふふっと笑う田辺に、真帆のぱくぱくしていた口からようやく言葉が発せられる。


「さ、さっきから、私が好きになること前提で話を進めるのはどうかと思う!」

「“好きになる”んじゃないよ田中さん」


ようやく言い返した真帆だったが、笑顔の田辺にさらりとそう返される。