「……いいけど、田辺くんああいうの好きなの?」


他人の好みをとやかく言う気はないけれど、イメージはなかったので驚きではある。


「俺は別に。でも田中さんは好きでしょ?さっき俺が甘酒取りに行ってる時、店の方見てたから」


よく見ている。


「まあ、どんなものが置いてあるのかは気になる」

「じゃあ行こう!」


楽しそうに笑った田辺は、一足先に甘酒を飲み終え、追いかけるように飲み終えた真帆のカップも受け取ると、お祭り用に設置された簡易ゴミ箱に捨てて歩き出す。
テント内に設置された長テーブルには、白いレースのクロスがかけられ、その上には可愛らしいアクセサリーが所狭しと並んでいた。


「へー、これ全部手作りなんですか?」

「はい。うちでお取引のあるハンドメイド作家さん達が手作りしてくれたものです。なので、全て一点ものですよ」


ニット帽がよく似合う女性が、笑顔で田辺の質問に答える。「へー」とまた感心したような呟きを漏らした田辺は、ついさっき“俺は別に”なんて興味なさげなことを言っていたのが嘘みたいに、楽しそうに商品を眺めている。


「田中さん、気に入ったのあった?」

「んー……」


どれもとても可愛いし、正直気になるものも何点かあったけれど、なんだか自分には可愛すぎる気がして手が出せない。