「もう、待ち合わせの時間とっくに過ぎてるのに全然来ないし、電話しても繋がらない、メッセージ飛ばしても既読がつかないから何かあったのかと思ってその辺捜し回っちゃったじゃん」


え?と真帆がカバンから取り出したスマートフォンを確認すると、確かに田辺から着信とメッセージがどちらも数件ずつ届いていた。


「あ、ごめん。着いた時まだ時間早くて、なんかお祭りやってたからちょっと覗くだけのつもりで……」


スマートフォンに表示された時刻は、確かにとっくに待ち合わせ時刻を過ぎていた。余裕をもって到着したはずだったのに、どうやら祭り見物に夢中になり過ぎて、時間を忘れていたらしい。


「まあ、とにかく、何事もなくてよかった」


安心したようにそう呟いてから、田辺は呼吸を整えるように深呼吸する。こんなに必死な様子の田辺を見るのは初めてだったので、真帆はどうしていいかわからずに、いつもならすぐに振り払う掴まれた腕もそのままに立ち尽くした。


「あー、こんなに走ったの久しぶりだったからちょっと疲れた。ねえ、そこでちょっと休憩してもいい?」