不貞腐れたように頬を膨らませる島田に、岡嶋はソファーに腰を下ろしてカップを手にしながら答える。


「……俺は、そういうことはきっちりしたいタイプなんだよ」


もう二度と、島田の悪い冗談に冷や冷やさせられるのはごめんだった。


「でもさ、好き同士だったらもうよくない?雅功くんだって大胆にもあたしにキ――」

「よくない!とにかく、今はまだよくないんだ!だから島田はベッド、俺はソファー、いいな」


念を押すように強く言い放つと、島田はなぜかニヤリと意地の悪い笑みを浮かべた。


「“今はまだ”ね。なるほどなるほど。まあ、いいことにしておいてあげましょう――“今はまだ”」


咄嗟の発言で墓穴を掘ってしまった気がするが、口にした言葉はもうなかったことには出来ない。
ひとまず岡嶋は、ひっそりと己の発言を悔いながらコーヒー一口。そんな岡嶋の隣に、島田がスプリングがきしむ勢いで腰を下ろす。
突然体が弾んだせいで、岡嶋は危うくコーヒーを零しそうになった。