カフェオレを両手で抱えるように持ったまま、島田が照れたように、でも嬉しそうに笑って岡嶋を見上げる。
そこからしばらく何も言わずにただ笑みを浮かべる島田。何も言わないけれど、何かを待っているのは伝わってきた。

しばし考えて、ああそうかと思い至る。
だからこその前置きだったのか。それに向けての、突然の“好き”攻撃だったのか。

それがわかったところで、簡単には口に出せないのが大人というものだ。いや、ここで大人であることを言い訳にするのは卑怯か。
ただ単に、恥ずかしいのだ。改まって、気持ちを言葉にして伝えるのは。
それも、長年秘めに秘めて、自分でもわからなくなってしまうほど秘めてきた想いだから、なおさらに。


「……島田、出来ることなら勘弁してもらえると……」

「何が?」


島田が笑顔で小首を傾げる。
これは、言いたいことはわかるが許さんぞという意味のあれだ。長年一緒に過ごした幼馴染みだからこそわかる。


「いやあの……せめてその……もっと自然な感じでな、こういう緊張感のある時じゃなく……」

「緊張感を感じてるのは雅功くんだけだよ」


ダメだ、取り付く島もない。