「……しそうになったけど、未遂に終わったってことか?つまり、やっぱり俺は……」


島田に襲い掛かったということなのだろうか。そうであれば、例え未遂だろうとも問題だと岡嶋は内心焦るが


「まあ、そうだね。既成事実を作ってやろうと思ったんだけど、失敗して未遂に終わってしまったというわけ」


島田が事もなげに、というかどこか残念そうに言う。
ん……?と首を傾げる岡嶋に、ん?と島田も笑顔で小首を傾げる。


「今、なんて……?」

「失敗して未遂に終わってしまったというわけ」

「違うそこじゃない。その前」


島田が再度放った“既成事実”という言葉に、岡嶋は頭を抱えた。


「まさか、そんなこと言ったのか?俺が?」

「え?ああ、違う違う。作ってやろうと思ったのはあたし」


岡嶋は、頭を抱えていた手をどけて島田を見る。緊張感の欠片もなく、カフェオレにふーふーと息を吹きかける島田を。


「あたし……?」


そう岡嶋が訊き返すと


「そう、あたし」


と島田から答えが返ってくる。