「だって、そういうことでしょ?今のって。雅功くんは、あたしが他の男の人と一緒に楽しそうにしているのが嫌だってことだよね?」


確認するように問いかけられ、岡嶋は頭を抱える。


「いや、それは……」


モヤモヤするとは思っていた。何がとは説明出来ないが、ずっと心の中がモヤモヤしてすっきりしない。
前はこんなことなかったのに。島田が誰と一緒にいようとも、誰と飲み行こうとも、“遅くなるな”、“気をつけて帰れ”くらいの気持ちしか抱かなかったのに。

これが嫉妬だというのなら、岡嶋は島田へ好意を抱いていることになる。それも、兄妹に向けるような好意とは全く別物の好意を。
ぐるぐるする頭の中で、そういえば似たようなことを誰かに言われたような……とおぼろげな記憶が脳裏をかすめる。

――「それだけ好きなら早いとこ結婚しちゃったらいいのに」

――「兄妹や家族のような感覚とは違う、恋愛的な意味でお好きなのではと」

――「年齢なんて気にしなくていいんですよー。そういうのは一旦忘れてみたら、案外すっきりするのかもしれませんよ」