店主がそんな事でいいのだろうかと思ったが、お客さんが来なさそうな時間であることは事実なので、それ以上は真帆も何も言わなかった。


「火傷しないようにねー。でも、熱いうちに食べてね」

「善処します」


苦笑しながらそう返しつつ、真帆はピザトーストを前に「いただきます」と手を合わせる。
召し上がれーというマスターの声を聞きながら、真帆は分厚くて熱々のトーストを苦戦しながら持ち上げた。


「……これ、フォークとナイフがあった方が食べやすいんじゃ」

「いやいや、ここはガブッと行こうよ田中ちゃん。仮にもピザだよー?」


確かにピザならフォークとナイフなんて使わないし、ガブッと行くところだが、こんな分厚いピザトーストをピザと同列にしないでほしい。
でもしょうがないので、真帆は向かい側で大口を開けているマスターに倣って、恥ずかしさを捨てて大きく口を開けてピザトーストにかぶりついた。
外側はよく焼けてカリカリっとしているが、中のパンはもふっと食感を残していて、ケチャップの酸味とチーズのコク、そこにピーマンの苦みとウインナーのジューシーさが加わって、口の中に美味しさが溢れかえる。ただ、物凄く熱くもある。