そんな真帆の前に、「じゃじゃーん」と効果音付きでマスターが出したのは、ピザトーストだった。
四枚切りよりもうちょっと分厚い食パンにトマトケチャップを塗り、ピーマンとウインナー、それからプチトマトも乗せて、上からかけられたたっぷりのチーズに食欲をそそる焦げ目をつけた、見た目にも美味しそうなピザトースト。
それが、一枚ではなく半分。流石に時間帯を考えて、一枚を半分ずつ食べようという計画らしい。


「コーヒー淹れようかー。インスタントでよければ」

「あっ、じゃあ私が」


腰を浮かせかけた真帆を、「いいから、いいからー」とマスターが制する。
お湯は電気ポットで常に沸かしてあるので、あっという間にコーヒーも真帆の前に提供される。
自分の前にもピザトーストとコーヒーを揃えたマスターは、食べる前に「さてとー」と零してカウンターを出ると、ドアの外側にかけられた“open”の札をくるっと返して、“clause”にして戻ってきた。


「……閉店までまだ時間ありますよ」

「でも今からじゃお客さん来ないでしょー。それに、食べてる時に来られても困る」